“お買い物体験”どうなる?を考えるブログ

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NIKE、D2Cで“購入体験”を追求

目次

 

NIKEの”購入体験”への本気度

2020年3月下旬、ナイキは、ナイキ商品を取り扱うテーラーにこんな通達を。

・「ECサイトのUIやUXをナイキが求めるレベルにまで高めるように」という趣旨
・求めているのは、NIKEと顧客の関係を阻害しない体験を提供すること
・対応不可ならプロダクトを取り扱う事が難しくなる可能性も

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通達を受けたリテーラーからは「これまでにない厳しい姿勢」 とのこと。D2Cの強化を進めるNIKEにとって、「ブランドと顧客との関係をつくる購入体験」は重要事項。

この一年のNIKEの動きを追うと、この通達にたどり着く意図もよりクリアになるので振り返ってみる。

 

■アプリと店舗の結びつきを強化

 顧客体験をつくる上で、NIKEリアル店舗の重要性を説く

「当社と結びつきのもっとも強いカスタマーがいるのは当社の店舗だ。そこで、最高の体験を提供したい。これと逆の考えをもつ企業もいるだろう。アプリで買ってもらえるなら、店舗は必要ない、とね。だが、当社と当社のカスタマーにとって、これこそが最適なアプローチなのだ」。

(グローバルデジタル商品部門トップ・マイケル・マーティン氏)

 

 

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だから、アプリの店舗内モードでは…
・カスタマーが試着室や靴のサイズのリクエストを瞬時に行える
・特別価格での購入や限定商品の購入
・レジに並ぶ必要のないアプリ内での精算
と新しい体験を提供している
 

■テック企業の買収は、すべて”購入体験”につながっている

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2019年5月、NIKEは、”顧客にぴったりのサイズのシューズをレコメンドするスキャン機能「Nike Fit」”を発表。


このサービスは、
①まず、「Nike」アプリでほしいシューズを選ぶ
②次にNike Fitを開き、スマホのカメラを使って自分の足をスキャンする。
③すると顧客は、そのシューズの自分に合ったサイズをレコメンドしてもらえる
というもの

これが実現したのも、2018年4月に買収したテック系スタートアップの技術を使って開発したからこそのもの

 

Amazonからの離脱

 2019年11月、NIKEAmazonでの販売を中止した

よりダイレクトでパーソナルな関係を通して消費者体験を高めることへのフォーカスの一環として、ナイキは現在Amazonと共同で行なっているパイロットプログラムの終了を決断した」(NIKE広報担当)

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D2Cの売上が全体の30%を超えるNIKEにとって、サードパーティからは距離を置ける有利なポジションに来ていることもある

 

■D2C拡大にとってアプリがキモ

 NIKIは、自社アプリの「Nike+」に機能を投入し続ける。
・限定版商品の投入でスニーカーコレクターをターゲットとする「ナイキSNKRS(Nike SNKRS)アプリ」
・運動管理の役に立つアプリを求める、熱心なフィットネスファン向けの「ナイキトレーニングクラブ(Nike Training Club)アプリ&ナイキランクラブ(Nike Run Club)アプリ」

など

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 D2C事業の拡大を目指すNIKEにとって、アプリにさらに機能を追加して、
・ユーザーに購入や自社イベントへの参加の拡大
・商品デザインに関するユーザーの意見の収集 

など
アプリユーザーからより多くのアクティビティを引き出すことで、卸売業者への依存をさらに減らし、顧客により多くの購入を促す広告を出す可能性を進めている。
 

■コロナの影響下でもNIKE株は急騰

NIKEの2019年12月-2月(第3四半期)の売上高は、Eコマースの伸びに支えられ、アナリスト予想を上回る結果に。

NIKEは、これからもD2Cの見本企業として進化していく。